法律・経営:長年借りている土地を購入して、マンション経営したいという相談を解説

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長年借りている土地を購入して、マンション経営をしたい

相談

私の実家は、ある大都市から電車で約30分の衛星都市にあり、昔からその街の商店街で酒屋を営んできました。父が高齢で後継者の問題がありますが、私自身は会社務めをしているため、酒屋を継ぐことはできません。兄弟も同じような状態で誰も酒屋を継ぐことはできません。

酒屋をしている場所は、祖父が戦前から借りていたもので、100坪ほど(約330平方メートル)あり、年間20万円ほどですが地代も払っています。しかし、古くからのことなので、契約書などは一切ありません。

父は、70年ほど土地を使用してきたのだから、時効か何かで自分のものになっていると言っています。酒屋を辞めてマンションを建設して住みたいと言っています。本当に、この土地は父のものになって、マンションを建設することができるのでしょうか。

もし父の土地でないとした場合、地主さんから土地を買い取ることはできますか。この場合、土地はいくらとして評価されますか。近くの不動産屋さんに聞いたところ、この地域の土地の単価は坪当たり66万円ほどだそうです。

回答

お父さんは、土地の時効取得を主張されているものと思われます。
しかし、時効取得は、所有の意思をもってする占有を継続して行わなければ成立しません。本件では、長年にわたり賃料を支払っていますが、賃料を支払うということは、地主の所有を認めていますので、土地の所有権を時効取得することはできません。

ただし、判例によれば賃借権の時効取得が認められており、この場合の時効取得期間は、20年(占有の始めに善意・無過失の場合には10年)です。本件では70年以上にわたって地代(賃料)を支払ってこられたわけですから、賃借権の時効取得は成立したと認められます。

賃借権を時効取得したといっても、土地の所有権を取得したわけではないので、お父さんは、自分の土地であると主張することはできません。したがって、土地上にマンションを建設する権原が当然にあるとまでは言えません。賃借権の範囲は、・・・・・・ で決定されます。

そこで、確実にこの土地を自分のものにし、誰からもクレームをつけられることなくマンションを建設するには、この土地を地主さんから購入することが考えられます。

この場合、地主さんに対して、土地を売却するように要請することができます。土地の売買は契約の一種であり、当事者双方の合意がなければ成立しません。値段で合意が成立しないときも契約は成立しません。ただし、土地の値段については、地価公示価格、地価 価格、路線価などで当該土地の客観的な価格をある程度正確に見積もることは可能です。

このうち路線価は、各道路に価格が記載されており、当該道路に接面する土地の1平方メートルあたりの価格が記載されているので、当該土地が更地である場合の価格を容易に推測することができます。路線価には、借地権割合というものが記載されており、その土地に借地権が設定された場合の借地権の価格割合がパーセンテージで示されています。例えば、「50:50」という記載になっている地域では、借地権者の有する価格と底地(よって地主)の有する価格とが1対1の割合という意味です。路線価は地域ごとになっており、近くの税務署に行けば閲覧コーナーがあるので閲覧できます。

値段の点で折り合わなければ、簡易裁判所への調停などを行い、地主との合意を取り付けることも可能です。ただし、調停も和解の一つである以上、当事者双方の合意が成立しなければ売買契約には至りません。

本件では、当該土地の値段や借地権割合は、調査しなければ確実な数字は判りません。不動産屋さんのお話からは、1平方メートルあたり20万円程度(坪66万円程)ということですから、仮に借地権割合が50パーセントの場合、土地価格の半分を借地権者であるお父さんが保有していることになります。したがって、更地とした場合の価格は約6600万円であり、あなたのお父さんは約3300万円の価値のある借地権を保有していることになります。

土地の値段を詳しく知りたい場合には、不動産鑑定士に依頼して鑑定書を作成してもらうことができます。土地の価格の鑑定方法には、いくつかの方法があり、従前は「取引事例比較法」(近隣の取引事例を参考に決める方法)が重用されましたが、最近では収益還元法(その土地を第三者に貸し出しした場合にどの程度の利益があがるか)が用いられることが多いです。
地主さんへのご提案としては、3300万円で土地を売ってほしいという提案をすることになると思われます。

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池田弁護士

池田崇志
いけだたかし

メルボルン事件や姫路冤罪事件を初め、多くの国際的な事件を取り扱う法律のスペシャリスト。企業の顧問として、多くの会社の法律面でのコンサルティングも行われています。

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